起業(個人事業主)× IT
MBAを卒業した後、オーストラリアで起業することを目指す人も多いと思う。そこで、ここではそんなオーストラリアで起業した際に必要なABN (オーストラリア・ビジネス・ナンバー) とビジネスネームの取得プロセスを紹介する。なお、今回の申請では、私の友人でもある「三宅会計事務所」の代表である三宅清吾さんに(MBAの授業の一環で)事業で設立方法をインタビューした。後ほど、三宅会計事務所についても詳しく紹介したい。
1. 事業の形態を選ぶ
まずは起業にあたって、どの形態をとるのかを考える。個人事業主、パートナーシップの設立、トラスト (信託) 、法人の4つの形態があるが、おそらく多くの人は1つ目の個人事業主あるいは法人を選ぶことになると思う。私の場合どちらでも良かったのだが、個人(一人)で事業することを想定し個人事業主での登録を試みた。これ以降の記事も基本的には個人事業主の場合にフォーカスしてみていきたい。なお、個人事業主で事業をして、その後事業の拡大に伴って法人として登録することももちろん可能である。さて個人事業主の設立の場合、ABN (オーストラリア・ビジネス・ナンバー)と呼ばれるものを取得するだけでよく、インターネット上で30分くらいあればできる!(準備ができていれば。。。。)それぞれの事業形態別の特徴や違いなどは、三宅会計事務所のサイトを参考にしていただきたい。
2. 必要な準備
個人事業主の場合に必要な準備としては、主に2つだけ、「ビジネスネーム」を考えておくこと。「TFN (Tax File Number) – 9桁」を準備しておくこと。本来個人事業主の登録だけであればABNだけでもいいのだが、自分の名前をそのまま事業所名として使用したくない場合が普通だろうから、ビジネスネームの登録も必要になる。なお名前の取得には年間で$36の費用がかかることに注意しておく(2018年時点)。なお、取得したいビジネスネームがすでに登録されている場合に備えて、2−3個事前に考えて、またもし時間があれば事前に同じ名前がすでに登録されていないか確認しておくと良い。登録済みのビジネスネームを検索は次のサイトでできる。
>「https://www.abr.business.gov.au」
3. 実際にABN(Australian Business Number)を登録
ここからは、ABNを登録するサイト「https://register.business.gov.au」のページで必要なプロセスに沿って、登録方法を簡単に紹介する。なお、ここでは最初のステップだけを紹介する。詳細なステップはまた別途異なるページで紹介したい。
1)まず最初の画面で[New Business]をクリックする。
2)次のページで、[Australian Business Number (ABN)]と[Business name]の両方をクリックする。下の方に、「Select additional registrations」というのがある。Goods and Services Tax (GST)=消費税や、Pay as You Go (PAYG) withholdingなどがいくつか並んでいるが、こちらは何もクリック(登録)しなくて良い。
なお、私は最初GSTをクリックしかけたのだが、事業の年間の売上が7万5千ドルを以下の場合はGSTの登録義務はないようだ。もちろん任意で登録はできる。
3)Nextをクリックすると次に「Before you get started」のページになる。ここは見ておくだけで大丈夫。これからどんな情報の入力が必要で、費用はいくらくらいかということなどが書かれているだけ。ちなみに、一番気になる費用を見てみると、以下の通りである。ABNの登録は無料であるため、今回費用がかかるのはビジネスネームの取得に関わるものだけである。先ほどもの述べた通り、1年間で$36、3年分だと$84が必要である、ということが分かる。確認が終わったら「Start Applying」をクリック。
Fees
- The fees to register a business name are $36 for 1 year or $84 for 3 years.
- The cost of registering a company ranges from $403 – $488, depending on the type of company you register. See the current list of company fees on the Australian Securities & Investments Commission (ASIC) website.
4) 「Sign in」というページが出るので、初めての場合は「Need to create the account?」の横にある「Register now」のボタンを押す。そしてEメールや名前などを入力して登録する。ここで登録したメールアドレスにVerfication codeが送られるので、それを入力して先に進める。
このページでの紹介はここまで!詳細なステップはまた別途異なるページでできれば紹介したい。
4. 完了
完了すると、登録したメールに「Record of registration: *****」(なお、****は自分が登録した事業者名)というタイトルのメールがASIC (Australian Securities & Investments Comission)から送られてくる。そこに2つのpdfへのリンクが貼られており、1つは「Record of Registration for Business Name」というタイトルの書類(pdf)で、もう一つが「ASIC key」の番号が書かれている書類(pdf)である。メールによれば、pdfへのリンクは30日間だけ有効のようなので、早めにpdfごと必ず保存しておく。Record of Registration for Business Nameのメールの中程にABNの番号も書かれており、ABNとビジネスネームが結びついて登録されていることが分かる。ASICキーは、ビジネスネームの更新や登録内容の変更の際に必要のようであるので、ともかく確実に保存しておこう。これで晴れてABNの申請、ビジネスネームの登録が完了する。
5. 余談:ビジネスカード(名刺)の購入
個人事業主の登録ができたら、記念にビジネスカードを作ってみよう!これも三宅さんにご教授いただいた情報であるのだが、「visaprint (https://www.vistaprint.com.au/)」 のサイトで気軽に作ることができる。値段も安く、オーダーする枚数にもよるのだが一枚あたり$0.1程度で作れて郵送されてきてとても便利である。名刺の書き方で気になるのが、個人事業主のオーナーの肩書をどうするかである。Principal(代表)やFounder(創業者)などがふさわしそうである。なお、よく耳にするCEOなどは法人の肩書なので注意が必要である。よい、これでかなりの準備は整った!かな。。。
オーストラリアでの起業なら「三宅会計事務所」
(写真 右:三宅氏、三宅会計事務所にて)
私が個人事業主の登録方法を教わった際には、「三宅会計事務所」の三宅清吾さんと一緒に事務所内で行わせてもらった。またその後事業体の組織構造についても丁寧に教えていただいた。オーストラリアで起業にあたっては独学で手続きを勉強して、、、というのも非常に有意義だと思うのだが、特にオーストラリアという異国での起業になれば、最新の法律事情、一般的な商習慣などを適切に把握しておくことは起業を成功させるうえで欠かせず、やはりプロのアドバイザーのサポートを適切なタイミングで受けることが肝心だと思う。またそれによって本業に集中できる環境をつくることも可能になる。
三宅さんは2017年にオーストラリアに事務所を立ち上げて、オーストラリア公認会計士 (CPA Australia)を保有し、かつ堪能な日本語と20年以上のオーストラリアでの在住経験をもつ。もちろん日系の中小企業の起業を含む支援の実績も多数ある。もしオーストラリアで起業や事業拡大などを考えるのであれば、ぜひ一度三宅さんに気軽に相談してみてほしい。シドニーの美味しい日本料理屋にもくわしいはずだ(笑)!
住所: 44/13 Herbert Street, St Leonards NSW 2065
以上