プログラムという「言語」の重要性について

私もプログラム言語をMBAと同時に学んでいる一人であるが、「そんな訳の分からないもの、本当に必要なのか?」と思う節がある人、あるいは今更無理でしょうとか、プログラムって何?という方には是非この下の記事を是非一度は読んでみて欲しい。なおここで紹介する内容は、G’s ACADEMYでの講演資料やコードクリサリス訪問時に得た情報などを元に筆者が編集している。

3つの学ぶべき「言語」とは

まず私が考える、私たちが学ぶべき「言語」には3つのものがある。1つ目が、「母国語」(日本人であれば日本語)、2つ目が「英語」(世界共通語としての言語)、そして3つ目が、中国語、、、ではなくて、「プログラミング言語」である。多分4つ目は中国語かもしれないが、今は3つだけに絞ったので。今、”私が考える”なんて言ったが、実は「この3つの言語が重要」だというのは、もうかなり前から言われている。日本では少なくても2011年に孫正義氏が明確にこのことを述べているし、スティーブジョブズ氏はこんな言葉を残している。

この国のすべての人がプログラムを学ぶべきだ。プログラムはどのように”考える”べきかを教えてくれる。それは法律を学ぶことに似ている。みんながみんな弁護士になる必要はないが、法律を学ぶことは一つの事柄を別の視点から考える方法を教えてくれる。私はコンピューター・サイエンスは一般教養だと思うよ。ー スティーブ・ジョブズ

私は幸いにもMBA留学によって、3つの言語のうちはじめの2つの言語を学ぶチャンスを得たわけであるが、さらに貪欲に3つ目の言語も同時に勉強する試みをしているわけである。

 

日本のIT産業の構造 ー 「受託」が半数以上を占める

日本において、いわゆるITの産業は大きく2つに分類できる。1つは、会社がこんなサービスやWebを作りたいと考え、それを外部の専門業者に依頼するいわゆる「受託型」。もう一つは、自社で自らの開発や運用を行う「自社型」である。日本のIT産業は受託型に大きく偏っており、大手の会社であっても、Webやアプリは外注されて本社の社員がその仕組み(プログラム)を把握していないケースが多い。受託型と自社型別のエンジニア数でみるとアメリカでは自社型が受託型を大きく上回り236万人程度いると言われているのに対し、日本では自社型が25万人程度しかいないと言われており、約10倍もの違いがある。経営者のITに関する意識調査によれば、日米では大きな差がある。日本の経営者はIT(導入)の目的を、「業務プロセスの効率化やコスト削減」、あるいは「業務プロセスのIT化」(手段が目的かしている気もするが)と答える割合が高く、アメリカの経営者は「製品やサービス開発の強化」、「ビジネスモデルの変革」と答える割合が高い。しかし、日本の経営者の考えが完全に遅れたものであることは、少し私たちの周りを見渡せば言うまでもない。最近日本で「民泊」として話題になったAirbnbは、自分の部屋を見ず知らずの相手に自分の好きな条件で貸すことができるビジネスである。こんなビジネスがITの力無くして生み出させるだろうか?むしろ、ITで何が実現できるのか、何が障壁なのかを、ビジネスを考える最初から意識しなければできるものでは決してない。そしてITは言うまでもなくイノベーションの担い手であり、今やそれこそがビジネスの中核とも言える存在である。

 

今から第三の言語を勉強するには?

確かにプログラムを含むIT言語の勉強が大切だとして、でも今更どうすればいいのだろうか?という質問に答えてみる。私の母校である「名古屋工業大学」には私の在籍していた時(約10年前)、もちろん当時と現在(これを書いている2018年)ではその捉え方や役割、重要性は全く異なるかもしれないが、ちゃんと「情報工学科」というプログラムを学ぶ学科は存在していた。彼らは少なくてもプログラム言語に触れているはずである。しかしジョブズ氏の言葉を借りて言えば、「今やデータサイエンスは全大学生が学ぶべき一般教養」なのだとすると、情報工学科を卒業した学生以外の(私のような)他学科の学生はほぼ全員、残念ながら必須科目の教養(1つん言語)を学ばずに卒業してしまったことになる。そして彼らの多くが今社会人としてビジネスをしている。もしそれが予防接種のようなものであれば、大人になってからでも再度病院に行って打ち直せば済む話かもしれないが、1つの教養科目(例えば、英語のようなもの)だったとなればそう簡単にもいかない。

それが理由で、近年世界的に(特にアメリカを中心に)拡大しているのが「コーディング・ブートキャンプ」である。コーディングとは、つまり(コードを書くこと=)プログラミングのことである。ブートキャンプとは、元々は「新兵訓練施設」のこと。つまり、プログラムを学ぶ新兵の訓練施設=教育機関という意味である。特に、コンピュータサイエンスのバックグラウンドを持っていなかった人が、一旦会社を離れて集中的に学ぶ場を指すことが多い。代表的なものには、General AssemblyApp AcademyHackbright Academy(女性専用)などがある。ちなみに新兵訓練施設というだけあって、もちろん簡単ではない!英語を勉強している人なら分かると思うが、異なる言語を学ぶことは(特に大人になってからは)決して優しいものではない。

 


コードクリサリス(Code Chrysalis)のKani Munidasa氏

(写真 左:Kani Munidasa氏、コードクリサリスのオフィスにて)

(コードクリサリスの動画で学校の雰囲気がよくわかると思います)

おそらく初めて本格的なブートキャンプを日本で創設したのは、コードクリサリスのKani氏(CEO)である。コードクリサリスでは、必要に応じて「基礎コース」(受講期間は1ヶ月)を受講のちに、メインとなる「Imersive(没入型)コース」(受講期間は3ヶ月)を受講するプログラム学習環境を提供している。前者はPart-timeであり平日の夕方と週末に(会社終わりに)通うことができるが、後者ではFull-timeでの授業に移行し、平日朝から夜まで(3ヶ月の)授業が入る。つまり、会社員であれば会社を辞めて、文字通り没入するしかない!一体、日本人の何人(何割)がこれを実行できるだろうか?個人レベルではこれができる人が少ないことが、今日本が、ITで世界を席巻しているアメリカ企業(AmazonやAppleやAirbやUberや…….という会社)に勝てない理由の根源であるように思える。

私は、訳あってコードクリサリスの創設者kani氏に直接話を聞きに六本木のオフィスに行ったことがある。彼が言っていたのは、「日本にも外国と同じ環境を作りたかった!日本人は今の会社を辞めて、給料がゼロになって、リスクをとって、そこまでして新しい言語を学ぼうとする人が少ないのは分かっている。でも絶対必要だし、それができなけれは日本は発展できない、だから私は日本にこれを作った!」

(無料で参加できるイベントも多数行われており、私が訪れた時には、ちょうど起業家が実際に開発した商品の説明やプレゼンが行われていた)

コードクリサリスでは、すべての講義が英語で行われており、環境も日本人には決して優しくない。日本人の比率は約40%程度で、残りは英語が堪能なアメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど外国人である。加えて参加者の三分の一くらいはIT Engineer出身(プログラムを既に勉強している人)とのことであった。料金も3ヶ月の講義で100万円を超える。さらに言えばお金を払えば誰でも入学できる訳ではない。入学試験や面接があり、本当に能力がありそれを実現できる素質があると認めらたものだけが入学できる。彼はまた、「教わりたい」人は欲しくない。「学びたい」人が欲しい。とも言っていた。最近読んだホリエモンの本「英語の多動力」の中で、受動的な学習である「勉強」と、能動的な学習である「学び」とを区別しているのだが、ホリエモンのいう「勉強」が、Kani氏の「教わりたい」人であり、ホリエモン同様に受動的ではなく能動的な学習者を求めている。実際に、「基礎コース」を少々見学したのだが、先生が生徒を指名し、「What do you think about? Please guess, 生徒の名前」で質問し、生徒が必死で考えながら回答する姿を見て、まさにMBAの授業のようだと感じた。MBAと似ているのは他にもある。彼がコディングはチームプレイだと言っていたことだ。製品開発のスピードが極めて早い環境では、「リーン・スタートアップ」という考え方が要求され、そこでは実用可能な最小限の製品(MVP=Minimum Viable Product)を生み出すことが重要だ言われている。彼はMVPを作る重要性を指摘し、そしてMVPは一人では時間がかかり過ぎる。数名のチームが適切に役割分担して最速でMVPを作り上げていく。それと同じ環境をここにつくっていると教えて頂いた。

HP:https://www.codechrysalis.io/?lng=jp (日本語ページ)

住所:東京都港区元麻布3-1-35 VORT元麻布地下2階


コーディング・ブートキャンプはIT版MBA!

経営的判断ができる人間を短期間で養成する場がMBAであり、コーディングブートキャンプはまさにIT版MBAという感じである。むしろ最近ではMBAよりもデータサイエンティスト(ITの知識に加えて、マネージメント能力も備えた人)になった方がより高い年収が期待できるというような記事もよく見かける。つまり、キャリアチェンジや起業を本気で考えているのなら、MBAよりも短期でより即戦力になりうるコードブートキャンプがお勧めで、それよりも時間とお金をかけられる場合はMBAがいいのかもしれない。どちらにしても確信しているのは、今は日本でアメリカほど多くの人に認知されていないかもしれないが、今後ブートキャンプの重要性は日本でも必ずもっと重要になるということである。もしあなたが何か人と違う能力を身に付けたいのであれば絶対に検討した方がいい分野である。みんなが学び始めてからでは意味がない。なお、地方の人が東京まで行けません!と嘆く必要もない。私もオーストラリアにいながら日本の学校のオンラインコースを使って勉強をしている。値段もオフライン(実際に教室に通う)よりは断然安いのでまず初めの一歩を踏み出す場合には是非検討してみて頂きたい。なお私が知っているオンラインの学校の一部を以下に紹介するので参考までに。

TECH ACADEMY https://techacademy.jp/
TECH :: CAMP https://tech-camp.in
DIVE INTO CODE https://diveintocode.jp/web_engineer_app
WEBCAMP https://web-camp.io/record/

 

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